口コミを顧客から広めてもらうために、様々な方法が解説されています。
小さなお店では、どうするのが良いでしょうか?
私は次のように考えます。誰もができる道は、一生涯のお客様である岩盤固定客を増やすことです。岩盤固定客は、口コミを広める様々な技術や方法を利用しなくても、口コミを依頼しなくても、その機会があれば必ず推薦してくれます。
たとえ、その人の仕事ぶりが突出して優れているというわけでもなく、たまに失敗することを知っていたとしても、その人のことをよく知っているという理由で、その人を推薦するのです。あなたも、仕事ぶりは並かもしれないけれどよく知っていて信頼できるという理由で、他の人に勧めたことはありませんか?
そして、岩盤固定客は顧客との交流で増えていきます。
岩盤固定客と、それ以外の顧客とでは、口コミ(推薦)の理由が違うのです。
岩盤固定客は、あの人をよく知っていて信頼できるから、話をよく聴いてくれるから、推薦しよう!です。商品・サービスの質が、業界の中くらいであって、特に優れていなくても良いのです。
普通の固定客・それ以外の顧客が、口コミをするのは、その商品・サービスが良かった、満足した、という理由です。なぜなら、交流しておらずお店の人を知らないから、その理由で推薦することは出来ないのです。
交流を深めつつ、口コミを広める仕組み
口コミを広めるのは、交流を深めることで達成できます。
- 語りたくなるお店の歴史を知ってもらう
そのお店の苦労や、お店・店主の人に話したくなるような歴史を知ってもらいます。すると、その話を、他の人にもしたくなるのです。例えば、「あのラーメン店は、店主が最初あそこで修行をして、それからお店を○○ところに出して、それから移転したんだよ」といった程度の話でも、人に語ったりします。それも大変な苦労をした内容なら、より人に語りたくなります。 - 顧客の記事をチラシやニュースレターに掲載する
顧客の喜びの声ではなくて、顧客やその子供をモデルにした写真・顧客が書いた記事・顧客を紹介した記事など、顧客が注目を浴びるようにします。顧客は喜んでくれるだけでなく、その顧客が周りに知らせたり、あるいは顧客の知人友人が話題にします。
子供の写真募集は、いろいろな媒体で行われていますね。 - 顧客を観光大使にする
著名な人を観光大使にする自治体はよくあります。それを、著名人でなくても観光大使になってもらうという方法です。
札幌商工会議所は、会員に観光大使になってもらいました。「元気です!さっぽろ!」シールを配布して、名刺に貼ってもらうなどし、道外の人に札幌観光をPRしてもらいました。
京都の街づくり団体は、京都市のお寺の観光大使に子供になってもらい、活動してもらった例もあります。 - 身につけてもらう・携帯してもらう
ある珈琲チェーンでは、自社のロゴ入りのタンブラー(飲み物の容器)を販売していて、それを携帯してもらえるようにしています。 - 写真を撮りやすくしている
写真を撮りやすくすると、ネットに投稿されやすくなります。 - 祝福する
花束や気の利いた物を贈ると、ネットに投稿されやすくなります。 - 自宅に飾れるものを贈る
顧客がネットに投稿したり、友人知人に話をすることもあるでしょう。 - 催しを行う
顧客は参加した催しを、ネットに投稿するでしょう。
交流を深めないけれども、口コミを広める仕組み
交流は深まりませんが、口コミを広める仕組みは、他にも色々あります。
- 高品質・特徴のある商品・サービスを提供する
高品質だったり特徴がある商品・サービスは、話題にされやすいです。利益にはあまり繋がらないけれどもそのお店を代表する高品質なものを少量生産したり、ユニークな形のお菓子を作成したり、特定の分野の品揃えをユニークなものにしたり群を抜いて幅広いものにしたり、方法は様々ですよね。
確かに、この方法は効果的ですが、他のメーカー・お店も同じように尽力している中で、自分の立ち位置を確保するのはなかなか難しい感じがします。もちろん、これが出来るならとても良い方法です。 - 特典をつける
紹介者・紹介された人ともに特典を提供します。
特典内容書いた紹介カードがよく配布されています。 - 配りやすいツールを渡す
顧客の知人友人にあげやすいものを渡す。紹介カード・ショップカード・試供品など。 - 期待値をコントロール
顧客の期待値を下げておき、期待以上のサービスを提供し、ギャップを演出します。顧客は、期待以上のサービスだと感動し、それが口コミに繋がります。
という方法が、解説されることもあります。賛否が分かれる方法ですし、難しい方法です。自分が行いたくないなら、あえて採用する方法ではありません。 - SNSでの口コミ
SNSに投稿した記事は、凄い・面白い・感動したといった、心揺さぶられるものが拡散しやすいです。ただ、狙って出来るものではないです。 - 分かりやすくする
店名を分かりやすくします。長い・読めない・覚えにくい店名だったら、人に言えなくなります。「なんとかというお店が」よりは「○○というお店が」と言われる方がいいですよね。店名は店主の想いが詰まっていますから、たとえ分かりにくくても良いんだ、というのなら、それでも良いと思います。実例として、お店の名前を決める時に、周りの人から、長くて言いにくいよ、と言われたけれどもそれに決めたのですが、実際に商いをスタートさせたら、やはり長くて言いにくいので、少し後悔した、という人もいます。
店舗に特徴をもたせます。例えば、赤い屋根のケーキ店があります。店名は覚えられなくても、赤い屋根のケーキ屋さんとして覚えられます。実際に私がそうです。 - 話題になるものを展示する
それを見たら、人に伝えたくなるような物をお店に置く方法です。巨大なもの、極小なもの、ユーモアのあるもの、美しいもの、高級なもの、誰もが知っている有名人のサインなど、色々考えつきますよね。例えば、高級スーパーカーを眺めながら食事の出来るカフェがあります。
口コミのデメリット
口コミは、紹介してくれる顧客がお店の良い点として伝えることと、お店側がお店の特徴として主張したいことが一致しない場合があります。それを懸念して、口コミに頼らないことにしているお店もあります。
交流に費用と労力とをかけると、顧客が自然と口コミをしたくなります。交流とは関係なく、口コミをしたくなる仕組みもあります。いろいろな方法があるのですから、自分のお店にあった方法を採用すれば良いでしょう。
顧客から口コミを広めてもらうために、何をしていますか?