角田光代/訳の『源氏物語』を読了。
この訳は、読みやすいです。とはいえ、当時の装束や建物・家具や楽器について知識があるとより分かりやすいので、源氏物語のガイドブックを横に置きながら読みました。
源氏物語とは、本居宣長によると「もののあはれをしる」 です。つまり、情趣や哀愁。 まったく、納得です。登場人物は、なににつけても、袖を濡らして泣いてばかり。とはいえ、悲しいばかりが「あわれ」の意味ではなく、例えば、美しさに心揺さぶられるのも「あわれ」に含まれるそうです。
源氏物語は、「The Tale of Genji」(1925~1933)として、アーサー・ウェイリーによって英訳されています。そんな前に訳されたなんて! 驚きました。光源氏は、「シャイニング・プリンス・ゲンジ」 。言いえて妙です。
登場人物で、もっとも印象深いのは柏木です。次に、薫。薫は、多数の薫型主人公が後世生み出される程の影響がありました(薫)。
源氏物語は、物語として面白く、完成度も高いです。そして、現代に至る日本の文化の源流を、物語を通して理解することができます。
本は、いくら周辺の解説を読んでも、読んだことにはなりません。私は、原典(現代語訳で良いので)から始めるようにしています。