日本人のあるキリスト教の伝道師は、布教のために説き続けたのですが、ちっとも聞いてくれる人はいませんでした。ある時、気づいたのです。
自分の話ばかりをするのは、相手の話より自分の話が重要だと思っているからだと。相手を尊重していないからだと。それとは反対に、相手の話に耳を傾けるのは、自分の話よりその人の話の方が重要だから、相手のことが大切だからだと。
私が傾聴の大切さを心から納得したのは、このエピソードを聞いたときです。
傾聴は全面的に相手に寄り添う聴き方です。相手を否定せず肯定のみで話を聴きます。
傾聴は技術ですから、練習すれば誰もが習得できます。私も、本を読み動画を見て、独学しました。傾聴の方法は、今ではネットにも多くの情報がありますから、ここで改めて記す必要は無いでしょう。
傾聴にまで至らなくても、聴く技術によって、通常の会話で相手にどんどん話をしてもらうことができるようになります。相手に語ってもらうことによって、より深くその人を知ることができます。自分から話をするのが苦手な人でも、会話が途切れることがありません。相手は話をしたことに満足します。
傾聴の技術を学んだ私は、それ以降、あらゆる場面で相手の話を聴くことが出来るようになりました。
子供の頃から通っている理容店では、顔なじみの奥さんに散髪をしてもらいながら話を聴いて、あぁ、そんな趣味があったんだ、と初めて分かったこともありました。初めて入ったお店でも、一言話しかけて、後はお店の人の話を聴くことを、自然としています。
もっと早くに、傾聴や聴き方の技術を学んでいたら良かったなぁ、と少し思ったものです。
あなたは、傾聴を行うことが出来ますか?