概要
自社の商品になんら関係の無いノベルティを渡すより、自社の商品・サービスに関連した道具を渡した方が喜ばれやすいし使われやすいです。しかも、自社の商品・サービスを更に利用してくれるようになります。
メーカーが自社の商品を格安で販売したりプレゼントして、消耗品で収益をあげる仕組みもあります。自社の商品・サービスにとって便利な道具の配布は、消耗品ビジネスと共通する点もありますが、その商品専用の消耗品しか利用できないなど異なる点も多いため、この記事では消耗品ビジネスは考慮しません。
金融機関の例
例えば、金融機関は、不動産会社や工務店向けの住宅ローンのセミナーで、ローンの計算に便利な電卓を配布したりします。
銀行は住宅ローンを売るために、個人ばかりでなく、不動産会社や工務店経由での申し込みをしてもらう為それら会社につかず離れず営業しています。また、土地や住宅の販売には、住宅ローンの計算が必要になります。従って、住宅ローンの計算がしやすい電卓は、顧客と最初に接触する不動産会社・工務店にとって便利なのです(ただし、今は、スマートフォンで計算するアプリがあるため、必要性は薄れました)。
自家焙煎珈琲店
私は、珈琲を豆を挽いて淹れるのですが、その前は、豆では無く粉を買ってきて淹れていました。
珈琲は、淹れる直前に豆を挽いたものと、粉で買ってしばらく置いてあったものでは、美味しさがかなり違います。
それが頭では分かっていても、珈琲ミルを手に入れるまでは、だいぶ時間がかかってしまいました。ミルを買うのが良いことを思い出さなかったり、きっかけがなかったり、いろいろと理由はありますが、手に入れようという意志がなければ買わないわけです。
ところで、珈琲焙煎のお店は、より珈琲を飲んでもらい、より豆を買ってもらいたいわけです。それには、珈琲の美味しさを伝えてゆく必要があります。焙煎店で、粉で買っているお客様はすでに珈琲の美味しさを知っているのですから、そういう顧客には、豆を挽いて淹れましょう、というスタイルを提案してゆくのが正解でしょう。店頭でミルを販売するのもそうですが、なんらかの機会でミルを顧客に配る・格安で配布する、というのが長期的に見れば、自社の売上をアップさせる方法だと思います。
ポイントカードが貯まったら500円割引、というよりは、ポイントカード1枚貯まったら、珈琲ミルか珈琲ポットと引き替えます、みたいに、珈琲を美味しくいれるために利用してほしい道具を、顧客が手に入れるきっかけを作るのが良いと考えます。
もちろん、顧客感謝デーとかの催しで、ミルや珈琲ポット・メジャースプーンを格安で販売するのも有りです。
珈琲ミルを買おうという意志が弱く、手に入れるきっかけが無かった人に対して、手に入れるための理由やきっかけを提供するのが、焙煎店の販促の1つだと思います。
お茶のお店の例
あるお店では、お茶を美味しく飲んでもらうために、水出しポットや紅茶のポットを安く販売する催しを開いています。私も、水出しのお茶には興味がありましたが、ポットを買おうというまでにはなっていませんでした。けれども、安くなったのね、という理屈を自分につけてポットを買ったわけです。結果、水出し茶は美味しく、夏の間は大活躍しました。日本茶の消費が増えるわけですから、お店にとっても良いわけです。
スーパーの例
スーパーで無料で配布している浄化した水は、意図しているかどうかは分かりませんが、料理を美味しくする(かもしれない)水 → 食材がより売れるようになる、とも考えられます。単にリピーターを増やそうという意図で設置しているだけかもしれませんが。スーパーの意図がどうであれ、料理が美味しくなると思ってこの水を利用しているお客さんがいるわけですから、食材の売上アップに繋がっているでしょう。
お店のメリット・顧客のメリット
お店にとっても、顧客にとってもどちらにもメリットが多い仕組みです。
少なくとも、広告入りの捨てられてしまう販促ノベルティより、顧客は喜ぶでしょう。
自坊では
自坊(妻が住職)では、御門徒に、行事の参加への御礼に赤ローソクを渡したり、ご希望の方に勤行集(ごんぎょうしゅう・お経の本)を差し上げたりしています。勤行集はこれ頂けますか?と聞かれることも多く、喜ばれています。(営利目的ではありません。念のため。)
あなたなら、無料・格安で、何を配布しますか?