顧客管理(支援)の方法の1つであるカウンセリング・コンサルティングを、アンケート用紙を通じて具体的に行うための方法が書かれた書です。私も、コンサルティング用のアンケート用紙を、この書をお手本に作成してみるつもりです。それ以外にも、なるほどなぁ、そのとおりだなぁ、という事柄がいくつもありました。これもどんどん取り入れる予定です。
不動産の販売で、顧客と上手に関係を築いている人は、コンサルティングを行っているんですよね。お客様の不動産(土地・建物)へのふわふわしたイメージを、具体的な数値に落とし込んだりします(資金計画)。資金計画は項目を埋めていく形なので漏れは無く人によって差はあまりでないのですが、それ以外のコンサルティングは属人的なもので、できる人できない人にわかれます。その原因は、顧客台帳があって接客の時に利用しても単に基本情報を記入するものですから、この書のような誰もができるコンサルティングを行うためのツールにはなっていなかったからです。おそらく、不動産業でも、このような「商談の基本が仕組み化・見える化された」(p.212)ツールを利用すれば、ある一定のレベル以上のコンサルティングが誰もが出来るようになるだろうなぁ、と想像できます。事業者にとっても良いですし、顧客にとっても顧客満足度が高まり、お互いにとって良い結果になるでしょう。
ただし、こうしたカウンセリングシートが合わない業種もあるでしょう。その場合は、接客開始から終了までを、この書にあるゾーンにわけて接客を進めていくという方法をとると良いかもしれません。本来シートがあって記入していくと良いのですが、それが出来ないのなら口頭で行うわけです。ゾーン1「ココロを開くアプローチ」を行い、ゾーン2「問題意識を引き出す」、ゾーン3「利益と可能性のイメージ」、ゾーン4「オープニング(クロージング)夢・目標をかなえる提案ゾーン」と、接客をすすめます。例えば、家電販売店(冷蔵庫売場での場合)なら、最初から売り込みをするのでは無くて、まず「どちらからお越しですか」とか基本的な話題からはいります。ゾーン2では、「今、どんな冷蔵庫をご利用で、何が不満なのでしょう?古い・電気代が高い・小さいなど」を聴きます。ここでは提案はしません。ゾーン3では、「最新の冷蔵庫ではこういう機能があって便利なんです。ご存じでしたか?」と、説明では無く質問形式でアピールします。ゾーン4では「もし購入するとしたら、A,B,Cの3つの冷蔵庫のうちどれがよろしいですか?」と仮定形で聞いてお金の話に入っていきます。この書の流儀に合わせると、こういった感じになるでしょうか。
自分の業種では合わないよ、と最初から否定する前に、一度立ち止まって考えてみると、やり方を少し変えて当てはめることもできる場合があります。
■1枚のアンケート用紙で「新規顧客」が「100回顧客」に変わる! / 小林未千 (著)